出版社 / 著者からの内容紹介
なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。
この作品は客観的に描かれていて、それもあってぞっとした。結局どうして祐一は光代を殺そうとしたのかは明示されていないものの、きっと光代のために嘘をついたのだろうと思った。不器用ではあるけれども本当は優しい祐一が殺人者となってしまうのが悲しくつらかった。誰であっても「悪人」となりうることを教えてくれる一冊だった。改めて吉田修一の実力には驚かされた。